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読書の記録

木原浩勝「九十九怪談 第一夜」

九十九怪談  第一夜九十九怪談 第一夜
木原 浩勝

角川グループパブリッシング 2008-08-09
asin:4048738801

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 前書きも後書きもなく、最初から最後までぎっしり短編怪談のつまった本である。
 中には面白い話もあるが、いくつかの理由で不満を感じた。まず、冒頭に道に迷う話が多過ぎること。同じようなネタの話があまりに続いては、読んでいて飽きてしまう。 
それから、シュールな話が多いこと。バリー・ユアグローのような不条理短編を楽しむつもりならばよいが、状況描写がよくわからず、唐突な印象だけ残して終わる話が多いのだ。
 
そして最大の問題は、どこかで読んだパターンの話が多いことだ。それこそ、「新耳袋」に収録された話のアナザ・バージョンのような話も散見される。恐怖度は個人差が激しいものだが、私から見ると個々の話のインパクトも(少し不思議系の話はシュールなだけにオチがないため)弱く、恐怖を期待して読むと肩すかしに感じられるだろう。 個人的に本書で印象的だったのは、ありがちだがいい話「墓参り」「キャッチボール」「鎧」「夫の声」、不可思議な「郵便物」「置物」「ヤマシタ家」「黒枠記事」。 
八十四話と八十五話の間の仕掛け(なんと、■●●話になっている!)が心にくい。 
それにしても、著者の手元に画像があるならカバーや口絵でもよいから、〔神の手(マラドーナじゃないよ)〕の写真を載せてほしかったな…と思ったら、某所に載ってるぅぅ。図書館派は気付くまいなあ。

p.s.続刊がこの調子で続くなら、購入するかどうかは正直微妙。怖さレベルを上げてくれないと自分にはちょっと…。