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読書の記録

門田隆将「なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日」

なぜ君は絶望と闘えたのかなぜ君は絶望と闘えたのか
門田 隆将

新潮社 2008-07-16
asin:4104605026

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 光市母子殺害事件の遺族、本村氏の生い立ちから事件発生、長い苦闘を描くノンフィクションである。
 この悲しく凄惨な殺人事件が起きたことは知っていた。だが、ニュースなどの報道をあまり見ないようにしていた。涙が出そうになるからだった。悲しみから目をそむけ逃げるのではなく、署名など協力するすべもあったのだと、本書を読んで遅まきながら気づいた。
 加害者に妥当(と自分が感じられる)判決が下されるまでの苦闘の道のりは、読んでいるだけで涙ぐみそうになるほどである。本書はそんな本村氏にスポットライトを当てるのみならず、同じく遺族である被害者のお母さんや、本村氏を支えた職場の人々まで描いている。
 事件発生後、本村氏への取材を続けた著者だからこそ書ける、被害者遺族の慟哭と社会変革への努力に胸打たれた。
 しかし、ここまで共感できない加害者は珍しいのではないか。本書はもとより被害者よりの書物ではあるが、ラスト著者は加害者に面会を果たしている。そこでの彼の言動は理解も共感もできるものではなかった。
p.s.ファンだったけど見損なったぞU野ぉ!老いたのか、U野ぉ?

 こちらも読む予定。
天国からのラブレター (新潮文庫) 淳 (新潮文庫) 淳 それから