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読書の記録

小川道雄「医療崩壊か再生か 問われる国民の選択」

医療崩壊か再生か―問われる国民の選択医療崩壊か再生か
小川 道雄

日本放送出版協会 2008-05
asin:414081294X

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 医療の現状と医療政策の問題点を医師の目から語るノンフィクション。豊富な事例や図表を用いたわかりやすい本である。
 私は医療崩壊に興味があって関連書籍を何冊か読んできたのだが、本書の主張もまた類書と同じであった。すなわち、医療費亡国論の誤り、日本の医療レベルの高さと平等性、産科・小児科・外科・麻酔科などにおける医師不足、医師の超過勤務問題と患者・マスコミの誤解・無知である。読んでいて既視感を覚えてしまったくらいだ。
 古くは2002年刊行の、やはり現場医師の記した類書に比べて本書は、事例こそ増え新しくなりこそすれ、問題点は何ら改善されていない。
 医師が声をあげ、国民が啓蒙されたとしても、官僚が動くのはいつのことになるのだろうか。