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読書の記録

岡田斗司夫「ぼくたちの洗脳社会」

ぼくたちの洗脳社会 (朝日文庫)ぼくたちの洗脳社会
岡田 斗司夫

朝日新聞社 1998-10
asin:4022612444

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 現代日本パラダイム・シフトをオタキングが語り、未来を生きるすべを探る本。
 相方にすすめられて読んだ本だが、タイトルからオ×ム真理教の話かと思い込んでいた。読んだらごくマジメな社会論なので驚いた。さらに驚きなのは、本書は著者の初の著書だということだ。どれだけすごいのかと。
 私は文系頭脳なのにうっかり理系に進み文系学問をないがしろにしたあげく、新聞もとらず読まず享楽的なエンタメ本しか読まない人間なので、本書に出てくる歴史学社会学が刺激的で面白く感じられた。新聞を毎日熱心に読んでいて、世界史や近代社会学を大学できっちり学んできた人にはどうか知らないが。
 大学や高校の社会科教科書、副読本として使えるほどマジメな好著であると思うのだが、タイトルがよくない。自分の考えを発信して他人に影響を与えることを「洗脳」と呼んでいるのだが、洗脳というとどうしてもうさんくさいセミナーとか新興宗教を想起してしまうので、本書はタイトルで損をしているように思える。
 出だしこそは歴史のお勉強のようでページが進まなかったが、中盤からは面白くなりサクサク読めた。今まで読んだこの著者の本(と言っても3,4冊だが)の中で一番好きかも。ツレのおすすめがなければ、まず手に取らなかっただろうからありがたい。