森博嗣「銀河不動産の超越」
銀河不動産の超越 森 博嗣 文藝春秋 2008-05 asin:4163270701 Amazonで詳しく見る |
まじめな青年が入社したのは銀河不動産という不動産屋だった。欲のない青年と顧客の織り成す連作集。
とくにヤマ場があるでもなく淡々と進行してゆくのだが、嫌な人物が一人も出てこないせいか心地よい小説であった。私は主人公の欲のなさ、飄々とした在り方に好感を持ったので楽しかったが、波乱万丈を期待して読むと退屈に感じるかもしれない。
やや出来すぎというか、都合の良さも感じられるけれど、複数の善意と金持ちの気まぐれが相まって生まれた理想郷が魅力的だった。