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読書の記録

加藤一・編「恐怖箱 黄昏の章」

超-1 怪コレクション 黄昏の章 (竹書房文庫 HO 43)超-1 怪コレクション 黄昏の章
加藤 一

竹書房 2007-09-27
asin:4812432405

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 「超-1コレクション」の一冊。複数著者による、怪談集の意欲作。
 私は長らく超-1に注目しないでいて、それは最初期にウェブで5,6篇読んだ新人による投稿作があまり面白いと思えなかった(←控えめな表現)こともあるし、短発で出た某作品が全然好みじゃなかったこともあった。
 ずいぶん遅れて手をのばした本書だが、これが予想外に楽しませてくれた。むろん、本書の中にもありふれた(類書によくある)話もあるし、ケイブンシャ版チョーコワの影響を受けすぎていて偉大なる先人の文体模写かよっ、という話もある。だがそれでも、新しいワクワクを与えてくれたところを評価したい。「夜明けの章」も読んでみなくてはな。
 私のお気に入りは心あたたまる「お気に入り」、「大岩騒動記」、オチは読めるが困惑ぶりが愉快な「ごす」、描写がリアルな「品定め」、「黒玉」、「ぶらんぶらん」、映像的な「サッカー」、「昭和の景色」、「泣き女」、「煙」、「指輪」、キモチワルイ系の「禁域」、「ぱさりぱさり」、天然ぶりがかわいい「アビス」。