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読書の記録

三津田信三「山魔の如き嗤うもの」

山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ)山魔の如き嗤うもの
三津田 信三 村田 修

原書房 2008-04-21
asin:456204151X

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 忌み山絡みの連続殺人事件。密室、童謡見立て殺人の謎を怪奇小説家・刀城が解く。
 いやー、旧家の因縁と巻き起こる連続殺人という実に横溝テイストのミステリなのだが、殺人があらかた終わってしまうまで推理が完結しない探偵の手遅れぶりまで見習わなくてもよいと思うの、私。

 ミステリー部分は薄々犯人や真相の見当もつくが、本書が素晴らしいのは怪奇をありありと立ち上らせるホラー部分。ここのゾクゾク感があるから、刀城シリーズは止められない。ホラー部分が金の輝きだとしたら、解決部分の魅力が黄銅鋼の輝きなのは仕方ないことかもしれない。

◆シリーズ感想

・ホラー部分がすさまじく良い第一作。

厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)
感想:http://d.hatena.ne.jp/pnu/20060225 


・なぜかこれだけ新書。或る意味バカミス

凶鳥の如き忌むもの (講談社ノベルス)
感想:http://d.hatena.ne.jp/pnu/20061023


・ホラーとミステリーのバランス良し。シリーズ中のマイベスト

首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)
感想:http://d.hatena.ne.jp/pnu/20070529


p.s.参考文献に挙げられている工藤隆雄「山のミステリー」山のミステリー(山中で感じる寒気の元ネタはこの本)は怪談フリークの自分も悶絶メロメロの大傑作なので、怪異・怪談好きなら超絶オススメ。

感想:http://d.hatena.ne.jp/pnu/20050605