篠田節子「Xωρα 死都」
Xωρα(ホーラ)―死都 篠田 節子 文藝春秋 2008-04-11 asin:416326910X Amazonで詳しく見る |
ヴァイオリンが結ぶ奇縁か、不倫カップル旅行は異世界への旅路となる。幻想小説。
私はオビの惹句から本書の内容を勘違いしていて、てっきり「コンタクト・ゾーン」みたいな、平凡な女性が非日常へ放り出され奮闘する物語だと思ったら、全然違った。 本書はしっとりした大人の女性の不倫恋愛と自分探しストーリーであった。
不倫の恋の道行きにも、起きる怪異にも取り立てて新味はないが、合わせ技で暗鬱なムードを盛り上げているところが見所か。恋の決着やラストにはどこか腑に落ちないものがあるが、ニュアンスある小説と言えるだろう。