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読書の記録

西浦和也「虚空に向かって猫が啼く―百奇蒐集録―」

虚空に向かって猫が啼く 百奇蒐集録 (竹書房文庫 HO 46)虚空に向かって猫が啼く
西浦和

竹書房 2007-12-25
asin:4812433460

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 何もない空間を見つめる猫は、いったい何を見ているのか?説明のつかぬ恐怖百話をぎっしり詰め込んだ怪談集。
 いいなあこれ。語り口はなめらかでいて、切れ味の良い話の数々が実に素敵だ。
 発売当時はうっかり見逃していて、今ごろ書店で発見・購入したが値段以上の楽しみを得られたと思う。百話の中にはよくあるタイプのありふれた怪異も散見されるが、今まで少なからぬ数の怪談本を読んできた私にも斬新に思える展開の話があって、ぞくぞくとうれしさがこみあげてきた。
 状況描写がわかりにくい部分や、誤変換・脱字がややあったけれども、おおむねエキサイティングで面白い怪談集と言えるのではないか。
p.s.「新耳袋新耳袋〈第1夜〉現代百物語 (角川文庫)や「おまえら行くな。」北野誠怪談集 おまえら行くな! (ルナティック・ウォーカーシリーズ)ともリンクしているので、またそれらを読み返したくなった。