畠中恵「こころげそう」
こころげそう 畠中 恵 光文社 2008-01-22 asin:433492591X Amazonで詳しく見る |
副題「男女九人お江戸の恋ものがたり」
不審な死を遂げた幼なじみが、幽霊になって帰ってきた!江戸を舞台に錯綜する恋心を描く連作短編集。
私がこの作品の世界にいまいち入り込めなかったのは、幼なじみが九人もいて、なかなかキャラの見分けがつかなかったから。読み進めれば徐々にわかってくるものの、キャラに強烈な個性があるわけではないので、淡い印象。主人公がにぶちんだというのも、印象の薄さに拍車をかけているかもしれない。
江戸の恋物語と聞いた時に、まず期待したのは「まんまこと」のせつない恋であった。ところが、本書では主人公が鈍感なものだから、口では好いていたというのだけれど、ほとばしるような思いのたけがこちらまで伝わってこないのだ。
あと個人的に、闇の中で起きた事件をいち早く察知すること以外の、この物語における幽霊の存在意義がよくわからなかった。