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読書の記録

金原ひとみ「星へ落ちる」

星へ落ちる星へ落ちる
金原 ひとみ

集英社 2007-12
asin:4087748979

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 魅力的なバイセクシャルの彼と、恋人であるヒロイン、そして彼女の元彼と、今彼の彼氏が織り成す恋愛模様連作集。

 ああ、私の好きな金原作品は「AMEBIC」AMEBIC (集英社文庫 か 44-3) (集英社文庫 か 44-3)とか「オートフィクション」オートフィクションみたいな狂気をはらんだ危うい小説だったんだけどな。
 本書は実にまっとうな(恋人がバイであるのは現実にはそうないけれど)、人に恋し夢中になる様子を鋭い感性で切々と描いた小説である。或る意味、ありふれた…だがしかし、それゆえに普遍性を獲得した小説であるといえよう。だから、今まで金原ひとみ小説ってなんかワケわからないしグロいしぃ、と思っていた読者諸姉にオススメじゃないかしら。
 うーむ、「ハイドラ」ハイドラでもそうだったのだが、ある短期間の恋の不安がまたも描かれているのね。読者としては、その先もちょっぴり知りたいんですけれと。

p.s.ヒロインが単調なゲームで気を紛らわすシーンがあるんだけど、ここにめっちゃ共感したわぁ。私も家人と職場の軋轢に悩んでたとき、meromeroparkみたいな、単純なゲームでよく頭を空っぽにしていましたわ。