金原ひとみ「星へ落ちる」
星へ落ちる 金原 ひとみ 集英社 2007-12 asin:4087748979 Amazonで詳しく見る |
魅力的なバイセクシャルの彼と、恋人であるヒロイン、そして彼女の元彼と、今彼の彼氏が織り成す恋愛模様連作集。
ああ、私の好きな金原作品は「AMEBIC」とか「オートフィクション」みたいな狂気をはらんだ危うい小説だったんだけどな。
本書は実にまっとうな(恋人がバイであるのは現実にはそうないけれど)、人に恋し夢中になる様子を鋭い感性で切々と描いた小説である。或る意味、ありふれた…だがしかし、それゆえに普遍性を獲得した小説であるといえよう。だから、今まで金原ひとみ小説ってなんかワケわからないしグロいしぃ、と思っていた読者諸姉にオススメじゃないかしら。
うーむ、「ハイドラ」でもそうだったのだが、ある短期間の恋の不安がまたも描かれているのね。読者としては、その先もちょっぴり知りたいんですけれと。
p.s.ヒロインが単調なゲームで気を紛らわすシーンがあるんだけど、ここにめっちゃ共感したわぁ。私も家人と職場の軋轢に悩んでたとき、meromeroparkみたいな、単純なゲームでよく頭を空っぽにしていましたわ。