伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」
ゴールデンスランバー 伊坂 幸太郎 新潮社 2007-11-29 asin:4104596035 Amazonで詳しく見る |
ある日いきなり「逃亡者」になってしまった青柳。彼をつぶそうとする巨大な何かから、逃れることはできるのか。
これはサスペンスであると同時に恐怖小説だ、と言い切ってしまおう。そしてまた、愛の小説でもある、と。
映画「逃亡者」に似てありふれた設定ではあるが、伊坂小説らしさがぎっしりつまっていて愉快痛快。ストレスフルなシーンも少なくないが、それが強烈な引きとなって読者を挽きつけてやまない。
断定から推定、疑惑から確信、義憤という構成の妙に読書の喜びを感じた。
細かなエピソード…私は元カノがかすかな違和感から報道を疑いだすところが好きだ…が、とてもよく出来ている。細部まで見逃さず、一気に読んでほしい小説だ。