読書日記PNU屋

読書の記録

2007ミステリ読書まとめ

 自分なりの11位以降ってことで。順不同。
 
歌野晶午「ハッピーエンドにさよならを」
ハッピーエンドにさよならを
 黒い黒い短編集。タイトルどおりハッピーエンドはない。しかし、それがイコール、後味の悪さになっていないところがステキ。 
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20071002

太田忠司「落下する花 ―月読― 」
落下する花―月読
 「月読」シリーズ一作目だが、本格ミステリ・マスターズで出た一作目より断然好み。良かった。短編の方がアラが見えなくてよいような気がする。
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20070430

鳥飼否羽「異界」
異界
 いつもの著者の作品よりトンデモ度の少ない、重厚なムードの意欲作。地味だがもっと評価されてもいい。個人的には「痙攣的」とかの方が好きだが。こんな正統派(?)な作品もものされるとは、読者の楽しみも増えるというもの。
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20070811

霞流一「夕陽はかえる」
夕陽はかえる (ハヤカワ・ミステリワールド) (ハヤカワ・ミステリワールド) (ハヤカワ・ミステリワールド)
 殺し屋たちのトンデモ・アクション&ミステリ小説。惜しむらくは、奇妙な殺し屋たちがひたすら殺しあう世界が、西尾維新戯言シリーズとかぶっているところかなあ。零崎一賊から萌えを抜いて年取らせたらこんなんなるのかな?
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20071111

愛川晶「道具屋殺人事件」
道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳  [ミステリー・リーグ] (ミステリー・リーグ)
 落語ミステリーは良作が多いのでかすんでしまっているが、これもなかなかの力作であると感じた。すぐに設定がわかってしまう作品も入っているが、落語愛を感じる一品。
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20070928

岸田るり子「天使の眠り」
天使の眠り
 デビュー作は迫力あるけどちょっと…と思っていてごめんなさい。よくある設定ながら、さとらせず読者を煙に巻く腕前に脱帽。先人を越える何かはないが、比肩することは充分に出来ている。今後の作品に注目。
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20070124

村崎友「たゆたいサニーデイズ」
たゆたいサニーデイズ
 ケータイなんかなかったころの、のどかな高校生活を書いたミステリーでノスタルジックかつ新鮮。この清涼感はどこからきているのかなあ。デビュー作が気に入らなくて、もう二度と読むか!!と思ったものだが、読んでみて良かった。作家は1冊ではわからない。
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20061216

 
 そんなわけで、2007年ミステリ関連のまとめを。まとめっつても、話題作けっこう読み逃してんだよなあ…だが、キライな作家を無理して読むのは私にも作品にも不幸なことだろうから、これでいいのだと思う。
 


 まず有栖川有栖「女王国の城」、サスペンスフルだし非日常性濃い舞台は申し分ないし動機は無理がないしうんちくたっぷり読み応えもあるのだが、それでも・どこか・物足りなさを感じるのはなぜなんだろう?10年前のような緊迫感や迫力を求めるのはわがまま?
 同じように、冗長に過ぎるのが気になったのは西澤保彦「収穫祭」。面白くなりそうだと期待したのだが、エロエロとリアリティなく終了したのが残念至極。こんなに厚くなくてもいいのではないかな。読み終えるのが残念なほど面白かった昔の切れ味が懐かしい。
 小説として、物語的な面白さはイマイチだがミステリーに特化したのが柄刀一「密室キングダム」。ミステリーへの情熱は評価されるべきだろう。楽しめるかどうかは別問題として。
 宮部みゆき「楽園」にはがっかりした…部分的には面白いのだが、全体としてみたらちぐはぐさが目立つ。
 米澤穂信インシテミル」は、私の大好きな閉鎖空間皆殺し系なのに、どうにもノりきれず。ラストがすっきりしない(曖昧模糊と終わる)作品が好きではないということを確認した。