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読書の記録

小路幸也「カレンダーボーイ」

カレンダーボーイカレンダーボーイ
小路 幸也

ポプラ社 2007-11
asin:4591100022

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 もし過去に戻ってやり直せるなら。今は四十代の男二人が、なぜかいきなり小学生にタイムスリップしてしまう。現在に問題を抱えつつも、過去の後悔の元をなくそうと奮闘する「名探偵コナン」+「バック・トゥ・ザ・フューチャー」かつエドモンド・ハミルトン「夢見る者の世界(夢見ると同時にめざめ、並行世界を同時に体験する古典SF)」な物語。

 ごめん、とまず最初に謝っておく。私は元々朱川湊人「昨日公園」が大好きだのに、類似設定の本書がどうして気に入らないのだろう。
 感動的な物語だと思う。だが、幾つかの点で楽しめなかった。




 たとえばp100は、それ絶対等価交換じゃないだろ、とかp141はドン引きだとか。家とカラダなら、私はカラダをとりたいし、家のトラブルなら台風の浸水でも地震倒壊でも、同じく家であるべきじゃね?
 そして、天才漫画家のねーさん。創作って創作って、そういうもんじゃないと思うのだよ。ホントにやるんじゃなくて(そら、スポーツとかのジャンルだったら実際にやってた方が作品にリアリティが出るかもだけど)、やったことないけど、やった人以上にリアルなものとして体感させるものを表す、それこそが創作者ではないのかな。やっちまったらいかんでしょ。少女なりの決意をあらわすこと以外に、あの行為に何の意味があるのかわからない、私は。
 それらを差し引いても充分スリリングな物語ではあるのだが、導入と準備が長すぎて最後が駆け足になったことが不満。

 中だるみ感じさせる浮気のエピソードは省いても良かったじゃないかな。