新堂冬樹「摂氏零度の少女」
摂氏零度の少女 新堂 冬樹 幻冬舎 2007-11 asin:4344014308 Amazonで詳しく見る |
動物を大好きなはずの少女は、いつしか変貌し母に毒薬・タリウムを盛るようになった。ティーン犯罪小説。
タリウムという時点で、現実にあった母親毒殺未遂事件をモデルにしていることがわかるが、ブログに投薬ならぬ投毒(?)の記録を残しているところまでなぞるのは、ちょっとやりすぎではないか。
たぶん、現実にあった女子高生による母親毒殺未遂事件から、なぜ少女があんな犯罪を侵すに至ったのか空想してみた小説なのだろうね。それでも、姉や母の心理描写に比べてヒロインの心理描写には疑問が残る。モデルとなった少女が読んだらどんな感想を持つのだろうかね…。
不気味さと哀れさを出すのは巧いけれども、動機を犬好きで読み解くのは無理があるのでは。
ラストのその後こそが小説として読んでみたいところだったのに、あっさり終わってしまい、そこが物足りなかった。