歌野晶午「ハッピーエンドにさよならを」
ハッピーエンドにさよならを 歌野 晶午 角川書店 2007-09 asin:4048737953 Amazonで詳しく見る |
十一編のアンハッピーな短編・掌編を収録。
いや、うまいわ。いかにも本格っぽいトリッキーな推理小説は「川に死体のある風景」で既読の「玉川上死」くらいなのだが、どれもこれも物語として面白く、ひきこまれる。
語り口の妙味わえる騙しのテクニックも健在でうれしい。
これでもかとアンハッピーでブラックな結末の物語を詰めこんでいるのに、不思議と読後感が重くないのはドライで湿気ていないから。
一行目からパワーを感じさせ、小説世界にどっぷり引きずりこんでくれる筆力のある作家さんは少なくなったが、著者には大いに期待している。