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読書の記録

柄刀一「密室キングダム」

密室キングダム密室キングダム
柄刀 一

光文社 2007-07
asin:433492560X

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 偉大なマジシャン“壇上のメフィスト”が密室で殺された?!警察を嘲笑うように起きる、凶悪にして異様な殺人の謎を南美希風は解けるか。

 900ページを越える大作である。
 心臓病を抱える美希風は、稼働時間が限られるウルトラマンタイプの名探偵と言えるだろう。彼の体調およびそれを気遣う姉・美貴子の描写が、事件の展開を遅らせ読者をじらすスパイスでもあるが、そのファクターがなければもっと短い尺でおさまったのではないか、と思ったり。
 細かいところまでフェア精神行き届いたミステリーで、余韻残る幕ひきなど美しい作品であるが、いかにせん長さが、ね。私的にはもう少ししゃかしゃか進んでくれた方が好きだな。
 なぜ過去の回想として語られるのかと思ったら、舞台上その時代でなければ成立しなかったのだね。細かい点まで考えぬかれたミステリー、ではある。

p.s.このへんは考え方にもよろうが、警察官が救命より現場保存を優先するなど、少々心情的に不自然と思われる箇所があったのは残念。(たった数分のことなれど、その数分が救急的にどれほど問題か。結局は××ということにオチがつくが、発見当時では警察側にそういう情報はなかったわけだし、すぐさま救命しようとしないのは不自然)。