小川洋子「博士の本棚」
博士の本棚 小川 洋子 新潮社 2007-07 asin:4104013056 Amazonで詳しく見る |
作家が語る本の楽しみと人生における大事なこと。
いつもどおりのこの著者らしいエッセイ集である。すなわち、真面目な女性作家が世界にリスペクト精神を持ちながら関わり、鋭い感性で創作物にレヴューをしたり、また自らの作品世界を作りあげてゆくその過程が描かれている、いつもどおりの小川洋子エッセイだ。
色々な媒体に掲載されたエッセイのため、幾つかは(細部こそは微妙に違うけれど)ネタがかぶっているのが残念。
しかし、300ページを越す本書において、タイトルになっている「博士の本棚」の章はたったの16ページである。それ以外の章も読みごたえがあるから言うのだが、もうそろそろ「博士の愛した数式」から離れてもよいのではないか。セールス的なこともあって難しいのかもしれないが…。本書のタイトルが「小川洋子読書日記」であってはなぜいけないのだろう、そんなことを考えた。
p.s.あれ?「犬のしっぽを撫でながら」をかつて読んだはずなのだが感想が見当たらない…UPし忘れて消してしまったか?
まあ、野球に犬にアンネの日記と、今回もあっちのエッセイと同じような感じ。同じ人が書いた日常なのだから当たり前か。読んでいて大いに既視感を覚えた。
しかし、著者がそんなにハルキストだとは知らなんだ。著作からはその影響を感じないのでよけいに驚いた。