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読書の記録

石持浅海「人柱は、ミイラと出会う」

人柱はミイラと出会う人柱はミイラと出会う
石持 浅海

新潮社 2007-05
asin:4103046716

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 留学生リリーが、昔からの奇妙な風習息づく日本で事件と名探偵に出会うミステリー短編集。

 本作にはいくつもの古きよき日本らしい風習が出てくる。作中の日本には、まだそういった迷信や非合理的と思われる風習が生き残っているという設定なのだ。
「BG、あるいは死せるカイニス」BG、あるいは死せるカイニスでも思ったが、現実と似通っていながらちょっと変わった世界を描くのが巧い作家さんである。
 名探偵が名探偵に過ぎて牽強付会に見えてしまったりとか、登場人物がややおとなしいとか、人物描写が薄味だとか、何年も日本に滞在しているリリーがちっとも自分からは日本の風習を調べようとしないできいてばかりなのは不自然だとか不満もないではないが、この目をみはる着想の数々を読むのが非常に楽しかったので、文句はつけないことにしたい。
 さてこの作品、英訳されて世界各国に広まってくれたら楽しいな。日本が盛大に誤解されそうだが、英語圏の人ならばラストの一編で著者の愉快なたくらみに気付くはず。