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読書の記録

平山夢明「「超」怖い話κ」

「超」怖い話Κ(カッパ)「超」怖い話Κ(カッパ)
平山 夢明

竹書房 2007-07-05
asin:4812431956

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 長らく加藤一・平山夢明の二大巨頭体制で編集されてきたチョーコワだが、ついにソロ活動となった。いちファンとして何があったのかと気をもんでいたけれど、前書きにて納得できたように思えた。各自の方向性をより深化させるためにたもとを分かったのだと解釈したけれど、それでOK?

 さて、平山怪談が凡百の実話怪談と異なるのは、異常なまでの描写力にある。抑えた筆致は、怪の出現その時を狙って言葉の奔流と化し、読者脳の言語野を激しく刺激して、体験者の五感を再現せしめるのだ。こんなに闇が濃く、血の色あざやかな、腐肉生臭い怪談を、私は平山作品以外に知らない。
 また傷の描写が果てしなく生々しいのも特徴で、読んでいて書かれたその身体部位が痛くなってくるほどだ。まさに平山ブラックマジックと言えよう。
妖怪譚のようにどこかユーモラステイストなものから、腐肉引きちぎれ汚物撒き散らされるスプラッタ・グロテスクなものまでそろったさまは戦慄するほどに壮観。
 極上の怪談をひとつひとつ噛みしめて味わってほしい。