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読書の記録

海堂尊「ジェネラル・ルージュの凱旋」

ジェネラル・ルージュの凱旋ジェネラル・ルージュの凱旋
海堂 尊

宝島社 2007-04-07
asin:4796657541

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 東城大学病院の田口は、旧友の速水を告発する怪文書を受け取る。病院内部の権力闘争と医療の理想と現実を描く病院小説(ミステリーとかサスペンスとかいうより、キャラ立ち病院小説としか言いようのない印象)。コミカルなキャラクターと、やりすぎなほどの仰々しい演出はハマるとクセになるが、読者の好き嫌いも大いに分かれそうである。私はそろそろついていけなくなってきた。

 デビュー作チーム・バチスタの栄光から続く田口&白鳥コンビの物語である。今回の話は「ナイチンゲールの沈黙ナイチンゲールの沈黙事件の裏側で同時進行していたという設定なのだが、そうするメリットがよくわからない。とくに「ナイチンゲール〜」が気に入らなかった身としては、重複する描写…冴子や小夜の部分はもう、おなかいっぱいでうんざりなのだが。作者の省エネなのだろうか。
 文句も述べたが、理屈っぽい会議の場面は緊張感があり楽しめた。主役級の活躍をする速水を始め、濃いキャラがそろっているのがいい。となると、感心しなかった二作目は、本作で彼らが活躍しまくるための布石、顔見せの人物紹介の巻であったのか?「螺鈿迷宮」螺鈿迷宮へつながるコネタもバリバリあるので、まあ発表順に読めってことっスね。


p.s.救急トリアージは医学の基本にして重要な部分で、医師国家試験にもよく出る。勉強の足りぬ学生はまず最重傷の者から搬送しようと考えるが、手の施しようのない患者は可哀想だがスルーし、救命の可能性があって、なおかつ重傷度の高い者から優先していくのだ。そんな判断を瞬時に下さなければならないのだから、救急は激務である。