市川拓司「ぼくの手はきみのために」
ぼくの手はきみのために 市川 拓司 角川書店 2007-03 asin:4048737511 Amazonで詳しく見る |
誰かが誰かと寄り添うあたたかさを綴る三編を収録する短編集。
いやー、ごめん。私にはなんか合わない本だったわ。部分部分に煌めきはあってもそれ以外のほころびとか展開が好みではなくてね。
まずは表題作。謎の病に襲われる少女を少年が救うストーリー。
大事なところがはぐらかされたように思えるのは何故だろうか。近付きつつある人はどうするのだ?基本的に耐える女性像が古く見えてしまうし、彼女が彼を誘うあの台詞は偶然の一致かもしれないが、昔一世風靡した某ドラマを連想してしまってトホホであった。
「透明な軌道」不器用に始まった恋が迎えた驚きの結末とは。
これにはラストで落胆した。早めにしかるべきところへ行った方がよいのでは?彼女が何をしたいのかよくわからない。
気になるのが、シーツの描写。シミのシーン描写にこそ意味を持たせたかったのか?そんなことを知らないなんてヒロインはホントに女性なんですか?人生で一度もその手の事象を失敗したことないんですか?ああ、実家住まいということはお母さんに洗ってもらっていたのか。などいろいろ萎え。
そして彼女の恋には葛藤はないのだろうか。それすら凌駕するほどのミラクルは、私には感じられなかった。
「黄昏の谷」身近な女から子供を託されるお人好しなおじさんは…。
うーん、途中までは、いい感じだと思ったのだが。いきなり現実の壁をひょいっと越えるのについてゆけず。またも耐えるタイプの女が!わがままよりはいいと思うが、三編中二編がそうだと、少々食傷気味。