柴田よしき「回転木馬」
回転木馬 柴田 よしき 祥伝社 2007-03-13 asin:4396632770 Amazonで詳しく見る |
失踪した夫を10年以上もの間、探し続けている下澤唯。ついに夫への手がかりが…。
ミステリ連作集「観覧車」を読んでからずっと、彼女のことが気になっていた。夫が突如失踪してしまい、夫を信じて探す女探偵のことが。その彼女がようやく夫につながる手がかりを得たというのだから、これは読まずにはいられない。
十二年という膨大な時間が妻と夫との間に横たわっているわけだが、本書自体が最初の短編から十二年の歳月を経て完結したというのだから驚きである。
ミステリの色合いが濃かった「観覧車」に比べると、本書は女の人生劇場の意味合いが強いように思う。恨み、憎しみ、悲しみ、そして愛。十年以上にもわたる歳月を経て生き残る感情は果たしてどういうものなのか、読者は本書を読み終えた時、知ることになる。
ぶっちゃけ、真相…夫が帰れなかった理由は少女マンガ
でよく見るようなものであったが、易きに流れず求道者のごとく真摯に夫を探し続ける唯には大いにほだされた。