読書日記PNU屋

読書の記録

西尾維新「刀語 千刀・ツルギ」

刀語 第三話 千刀・ツルギ刀語 第三話 千刀・ツルギ
西尾 維新 take

講談社 2007-03-01
asin:406283619X

Amazonで詳しく見る


 えー、ツルギという字は木へんに殺すという字でございます。
 とがめと七花は天才の作りし変体刀を集めるため、出雲に向かうが。シリーズ三殺…じゃなかった3冊目。
 これまでと同様、のんびりまったりと二人の旅は続く。気になるのはゆるさが微妙であることで、二人の掛け合いに萌えがあるかというとさほどでもなく、戦闘シーンに[全十二巻なんだから、当然勝つんでしょ?]みたいな気のゆるみが(主に読者の方に、であるが)生じてしまい、緊迫感を保つのが難しい。
 しかしこのシリーズ、一巻で既に結論をさらっとバラしているくらいなので、著者の共犯者のつもりでのんびりまったり予定調和に浸ったぬるま湯展開を楽しむべき作品なのかもしれない。
 巫女を出しながら全く萌えさせないハズシた設定には驚かされた。萌えなんて人それぞれだからこれで萌えられる人もいるだろうが、個人的には今回登場の異様に言葉遣いが丁寧な「まにわに」萌え。早い退場が惜しまれる。巻末の挿画がいつも「まにわに」の彼らであることから、イラストレーターの竹氏も彼らには同情しているのでは…なんて邪推してみたり。

p.s.細かいことだが、とがめはアルビノではなく後天的に白髪になったのだから、赤い目ってのはへんな気が、しないでもない。そして、もう三冊目まで来たら残りもそうなのだろうが、イラストが簡易版(?)なのはつくづく残念だ。願わくば「戯言シリーズ」挿画のように、真面目な線の多い絵であってほしかった。