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読書の記録

米沢嘉博・監修「マンガと著作権 コミケット叢書 パロディと引用と同人誌と」

マンガと著作権―パロディと引用と同人誌と (コミケット叢書)マンガと著作権―パロディと引用と同人誌と (コミケット叢書)
米沢 嘉博

コミケット 2001-08
asin:4883790894

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 コミケが主催した著作権とマンガ表現に関する勉強会のもようを収録している。

 パロディとパスティーシュカリカチュアの違いだとか、現役漫画家の考えだとか、著作権問題に詳しい弁護士の見解などが読めて興味深い。創作に関わる人の必読書と言えるだろう。漫画家とり・みきの発言〔元ネタがわからなきゃ困るのがパロディ、元ネタがわかったら困るのがパクり〕には大いに同感。
著作権の勉強とは言っても、対談・討論形式で著名なプロ漫画家も多数登場するし、面白く読むうちに理解出来ていくつくりになっている(一人、持論を展開するあまり空気が読めてない人がおられる気もするが、言及は避けておく)。
 引用の自由さについて新たな知識を得た。よく[無断引用を禁じます]みたいな記述をよくネットなどで見かけるが、それは法律的にはナンセンスなのだと知った。勉強あるのみだな。そして法律解釈には柔軟性があり、判例を通じて整備されていくというのは、不学にして本書で初めて知った。
 しかし法律というのは、難解なものだなあ。巻中に著作権に関する法律の抜粋があるのだが、この箇所だけは読んでいて眠くなるのだった。

p.s.今は絶版だそうだが、マッド・アマノの裁判エッセイを読んでみたく思った。