冲方丁「黒い季節」
黒い季節 冲方 丁 角川書店 2006-12 asin:4048737473 Amazonで詳しく見る |
やたら評判の良い作家さんだが未読だったのでデビュー作から読んでみる。最近新装版が出たけれど、初版イラストは天野喜孝で雰囲気がある。
内容はバリバリ伝奇モノ。忌み嫌われる[ち]の一族の青年が、記憶を失わされてヤクザに拾われることが発端である。
[ち]の一人である戊(ほこ)と敵方である蛭雪が、それぞれ人間相手に恋愛するところが可愛らしい。激しく対立する二人も、彼氏を前にすればハートは一人の可愛い女のコなのだから。
これがデビュー作とはおそれいる。異能者同士の血で血を洗う決戦、ヤクザの抗争と人情、ちょっと倒錯した異類恋愛とサービス満点なのだ。
竹河聖や菊池秀行、夢枕獏が好きならひきこまれるのではないか。他の作品も読んでみたくなった。
黒い季節