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読書の記録

コニー・ウィリス「最後のウィネベーゴ

The Last of the Winnebagos」

最後のウィネベーゴ (奇想コレクション)最後のウィネベーゴ (奇想コレクション)
コニー・ウィリス 大森望

河出書房新社 2006-12-08
asin:430962197X

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 大森望・編訳のコニー・ウィリス短編集。

「女王様でも」親類の娘がサイクリストになった。説得して翻意させようとする皆だが。サイクルとはそういう意味だったのか!思えば変なサイクルだもんね。無駄が多いし。読者諸姉はいろいろ考えさせられると思う。私も作中の設定通りなら、シャントを選ぶだろう。

タイムアウト」ドクター・ヤングの奇妙な実験は、関わる人々に困った影響を及ぼし…ドタバタのちハッピーな感じのよいお話。ストーリーに影響のない挿話、謎の飲み物・スーサイドの味が気になるところ。善き人々が幸福であるようにという祈りを感じるが、気のせいだろうか。

「スパイス・ポグロム」突然、宇宙人と同居する羽目になったクリスのてんやわんやな日々。真面目で忍耐強いクリスは「タイムアウト」のヒロイン、キャロリンに似ていて好感度大。エイリアンならではのコミュニケーションのちぐはぐさがなんとも可笑しい。

「最後のウィネベーゴ」カメラマンの男は、ひき殺されたジャッカルを見た日、RV車で暮らす老夫婦の取材に赴くが。最初こそは、え?ミーシャって誰?みたいに作中世界では周知の事実がピンとこなくてやきもきしたが、読み終えて納得。人は視覚情報を意識下より無意識下で解読しているものだ。手がかりが全て出揃い、何気ない光景に見えていたものが意味を持ってつながると知った時、読者は驚きに打たれるだろう。