読書日記PNU屋

読書の記録

石田衣良「美丘」

美丘美丘
石田 衣良

角川書店 2006-11-01
asin:404873718X

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 今はもういないきみへ…恋の思い出語り。大学生たちの仲良しグループに迎えられたはねっ返りの女の子、美丘のおはなし。

 う〜ん、読書大好きな青年が奔放な同級生に惚れちゃうわけなんだが、私の視力が悪いのかな、美丘のドコが良いのかわかりません!!自分の気持ちに正直なのは認めよう、でも他人は傷つけ放題だし過剰防衛だし、個性的を通りすぎて困ったちゃんにしか見えないんだけど。主人公の男もひどくいい加減だと思うが、美人に思いを寄せられたらとりあえず付き合ってみちゃうトコなんかは、やりたい盛りの男子大学生にはリアルかもしれんね。
 美丘のわがままを肯定的魅力ととらえる主人公だが、私から見るとただの気ままなコにしか見えない。だから美丘伝説に付き合うのは、しばしば苦痛であった。プロローグの刺青の意味も感動するどころかドン引きしたし。なぜ彼女が舞台から退場することになるのか、それだけを頼りに読み進めたようなものだ。今読み終えて思うに…この設定はズ・ル・イ!そんなこと言われたら、彼女を嫌うと悪者になっちゃうじゃない。ラストは不穏なところで終わっているけれど、フキソになったのかしら。
 私にはついていけぬところも多かったけれど、恋の激情はよくとらえられている小説だと思う。

p.s.最近、記×××を使った恋愛小説が流行っててちょっと倦んできた。片割れが×気でもないと、現代ではもう純愛って成立しないんだろうか。