読書日記PNU屋

読書の記録

五條瑛「ROMES06」

amazonで見る


西日本国際空港は科学の粋を集めた最新システム・ROMESにより守られていた。システムの全容を知るただ一人の男、成嶋は部下の砂村と共にテロリストと対決する。

成嶋の変人天才ぶりと砂村の苦労人ぶりには好感が持てたのだけれど、テロリスト側に魅力が感じられなかった。目的の浅薄さの割にまだるっこしく迂遠な犯行手口には飽きが来てしまうのだ。チームの存在意義もさっぱりわからない、私には。それは作中でも述べられているように、人には他人の気持ちなんかわかりっこないということなのかもしれない。

キャラクターの設定や配置に若干の都合の良さを感じるところ、また犯行チームが魅力的でないところ、クライマックスの隠し玉が読み始めた当初から想像ついてしまうところなどが、私には今一つであった。現実にありうる設定で創られていながら、その都合良さにおいてありえない事件になってしまったように思う。