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読書の記録

垣根涼介「真夏の島に咲く花は」

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両親と共にフィジーに移住した日本人・ヨシはインド人の恋人がいた。フィジーを愛しつつも、政策に不安を感じるヨシだったが。


フィジーガイドとなった本書だが、小説として見た場合ストーリーにやや不満が残る。日本人二人を含む微妙な三角関係、恋路を邪魔する人種や身分の壁が見所だが、恋愛要素をこれだけ打ち出しておきながら、そりゃないよと思わせる展開となった。それがリアルということなのかもしれないが、あまりに唐突ではないかと思う。
タイトルとも関わってくるラストシーンは感傷的ではあるが、美しい。繰り返しになるが、フィジーの雰囲気を仮想体験するには良い本であった。

物語については、私がもし本書の登場人物であったなら、とうてい納得出来ないラストであった。まあ、そこんとこは人それぞれだろうけれど。

恋愛モノとしても政治社会モノとしてもどこか中途半端に感じるのだが、エンタメならばそれでいいのか…。