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読書の記録

大泉実成「人格障害をめぐる冒険」

人格障害をめぐる冒険

 今は使われなくなった「人格障害」という言葉の定義、成り立ちから現実に起きている事件にどう関わっているかを共感能力豊かに描き出すノンフィクション。高みから他人事のように断罪するのではなく、犯罪に至る背景を解説していくスタイルは読者にスンナリと納得させる迫力がある。
 丁寧な上に読み物として興味深いので、人格障害について知りたい人の入門書に適しているのではないかと思った。社会に存在するパーソナリティ・ディスオーダーとどう折り合って行くかの可能性も示されている。