森見登美彦「きつねのはなし」
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京都に住まう不気味なあやかしと人の関わりを描く表題作ほか
書き下ろし含む怪奇幻想連作集。
キーワードは 京都 大学生 竜 獣だろうか。
こういう小説もものされるのだな、と正直驚いた。
既刊「太陽の塔」などに見られたユーモラスなテイストは一切なく、
シリアスな幻想小説なのだから。
この路線で突き進むと諸星大二郎のような作風になるかもしれない。
謎がいつまでも謎なのでもやもやしてしまうのが良し悪しか。
私は著者のユーモアテイスト作品のファンなので本作には
少々地味というか物足りなさも感じたのだが、作家としての引き出しの
多さを感じる作品だった。次回は果たしてどのような作品をものされる
のか、楽しみにしたい。