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読書の記録

戸梶圭太「バカをあやつれ!」

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とある田舎町に赴任した警察署長は、鬼畜のような企てをあたためていた
…鬼畜系破廉恥、水は低きに流れるを実証してみせるバイオレンス小説。


いやぁ、いつも通りのトカジ小説だよねー、
陰惨な暴力をカラッとドライかつユーモラスに描くのは
トカジ特有の持ち味だと思う。
これを生真面目に描写すると阿部和重シンセミア〈1〉
シンセミア〈1〉
とか
新堂冬樹とか馳星周みたいになるんだろう。


ただ本書はちょっとパワー不足の感がある。
B病がそんなに急に末期になるわけねぇー!!ってのはフィクション
だからいいとして、どうも本作、いつものような突き抜け感がない。
そう、カタルシスがないのだ。
彼らの計画がもたらす恐慌がカタストロフィたりえず、そこまでの
過程のリピートでしかないのだ。
シマウマ製造の描写などショッキングな残酷描写に光るものはあるが、
ストーリー・トータルでの満足度はそこそこ、でしかない。
町長キャラなどは影が薄くて、いなくても良かったんじゃないかと思う。
激安人間がストレスを溜めてついに爆発…ってのは
東京ライオット
東京ライオット

で既出だしなぁ。主人公たちがさしたる情熱もなくヒマを持て余し
悪戯計画をこねるところが一番恐ろしかった。


p.s.財閥パワーはうらやましいなあ。あやかりたい。
どっかに落ちてませんかね財閥パワー。