田中啓文「ハナシにならん！笑酔亭梅寿謎解噺２」
短気で頑固な師匠に弟子入りしてしまった竜二が主役の好評シリーズ第２弾。
第一弾はこちら「ハナシがちがう！」（文庫版はマンガっぽい表紙でびっくりだ！）
単行本の表紙を開くともう、
見返しが赤紫に緑、扉が黄色に紫と視覚的にムード盛り上げてくれる素敵な造本。
梅駆こと竜二がＯ-１に出て東西落語の違いを想う「蛇含草」、
竜二がテレビのバラエティに挑戦する「天神山」、
ラジオの番組を持つ「ちりとてちん」、人情しみ入る「道具屋」、
落語の危機？「猿後家」、梅寿一家新たなる出発なるか？「抜け雀」、
緊迫の師弟対決「親子茶屋」。
今回は前作より犯罪などの事件性は薄れ、
若いのに落語の将来を真剣に考える竜二の噺家として、
そして人間としての成長物語となっている。
ギャグや遊び心は盛り込まれているものの、
ミステリー度は控えめかもしれない。
終章だけはある決断をした竜二の気持ちがどうもわからなかったけれど、
ラストには納得。落語愛にあふれる一冊であった。
