読書日記PNU屋

読書の記録

樋口有介「ピース」

秩父の田舎町で連続してバラバラ殺人事件が発生する。
捜査は難航し、地方紙記者は初スクープと張り切るが…。


物語の切なさに定評ある著者だけれど、本書は異色ミステリー。


捜査班に緊迫感がなくどこかのんびりしているのにも違和感を覚えるが、
それよりついていけないのが美人記者こと麻美の心情。
親友とは言わないが近しい顔見知りが無惨に殺害されたのに
恐れる様子もなくケロリ。
最初から自分が被害者にはならぬとわかっているかのような
落ち着きぶりと図々しいまでの立身出世欲で若いセフレの過去まで
嗅ぎまわる。心臓に毛でも生えているのではないか。
謎めいた過去を持つ青年より、あんたの思考回路の方が謎だわと思ってしまう。


バラバラの猟奇性より秩父の自然や田舎町描写に熱が入った
秩父ミステリーだが、ミステリーらしくない周辺の情景書き込みが
多いこともありページが進まず読むのに難儀した。


p.s.結局あの大酒飲み少女の存在意義はいったい…?