読書日記PNU屋

読書の記録

貫井徳郎「空白の叫び」上・下


それぞれ中学生の若さで殺人犯になってしまった久藤・葛城・神原の
三人は少年院で出会った。筆舌に尽くしがたい責め苦の後、出所した彼らは…。


上下巻、1000ページを越える大作である。
出だしの少年院以前は似たようなことの繰り返しが多くやや退屈もしたが
事件以降は一気に読んだ。暴力や性描写などショッキングなシーンも
見られ万人受けはしないだろうが、超ド級のエンタメではある。
彼らが建てる計画のディティールには不満が残るものの、
執着を持たない求道者のような葛城は強い印象を残した。


p.s.まっすぐに見えた理穂の内包する歪みだとか、
純情だったはずの彼がどんどん悪の道をころがりおちていくところに
もっとスポットライトを当ててほしかった気もする。
水嶋の存在、そして“あの計画”にまつわるあれこれは私には
余分に感じられた。