森博嗣「少し変わった子あります」
大学の先生がお気に入りの店は、名前がなく、場所も決まっていない妙な店。
そこで素性のわからぬ上品な少女と会食するのが彼の生きがいになっていき…。
うーん、雰囲気はいいと思うのだが、三章目を読み終えた時点で
少しうんざりしてしまった。何故だろう、私が女性だから
オッサン(でも紳士)主人公に共感出来ないのだろうか?
それならもしこれが、
有閑マダムが謎の店で端正な少年と優雅にお食事しつつ詮無いことを
つらつら考える連作集だったら面白いと思えたんだろうか?
それも違うな。
主人公は日々に汲々としている私の対極にあるような人物なので
あまり好きになれないのだな。
主人公像は、やはり私には合わなかった北村薫「語り女たち」にも似ている。
一見彼女らの自主性に任せているようで、
舞台の基本に男の財力があるところも同じだ。
そういう点を生臭く感じてしまったので、合わなかったのだろう。
その店のことを教えてくれた友人が行方不明であることが始めに示唆されるが、
その謎だけでは興味がラストまでもたない…。
こんな資本主義社会にひっそり咲いた男のファンタジーは、
私には用事がないのでございました。
p.s.しかしいくら若作りにしたって三十路過ぎの女を「子」呼ばわり
するのってどうよ。私なら、ないなそれ。