2006-08-27 倉阪鬼一郎「下町の迷宮、昭和の幻」 アイアン 下町の迷宮、昭和の幻倉阪 鬼一郎著実業之日本社 (2006.7)ISBN:4408534943価格 : \1,680bk1で詳細を見るAmazonで見る 薄闇の中迷いこむ生と死の境界を描く怪奇短編集。 「昭和湯の幻」「飛鳥山心中」「無窮の花」「絵蝋燭」「廃屋」 「奥座敷」「まどおり」「紙人形の春」「クラリネット遁走曲」 「跨線橋から」を収録。 全編に共通しているのは黄昏たレトロなムード。 気分はやや忌まわしい悪夢のセピア色。 死にゆく生者の脳裏にか、 はたまた現実を歪ませて現れた異界なのか、 蘇るのは懐かしの光景である。 ムードは良いのだが、句がよく扱われていたりする部分は 詩歌音痴の私にはピンと来ず。 考えオチも少なくないので大人な読者向けと言えよう。 なんとも渋い一冊。