読書日記PNU屋

読書の記録

倉阪鬼一郎「下町の迷宮、昭和の幻」

Amazonで見る


薄闇の中迷いこむ生と死の境界を描く怪奇短編集。
「昭和湯の幻」「飛鳥山心中」「無窮の花」「絵蝋燭」「廃屋」
奥座敷」「まどおり」「紙人形の春」「クラリネット遁走曲」
跨線橋から」を収録。


全編に共通しているのは黄昏たレトロなムード。
気分はやや忌まわしい悪夢のセピア色。


死にゆく生者の脳裏にか、
はたまた現実を歪ませて現れた異界なのか、
蘇るのは懐かしの光景である。
ムードは良いのだが、句がよく扱われていたりする部分は
詩歌音痴の私にはピンと来ず。
考えオチも少なくないので大人な読者向けと言えよう。
なんとも渋い一冊。