読書日記PNU屋

読書の記録

平谷美樹・岡本美月「百物語 第五夜」


友だちの友だち…ではなく、
著者自らが体験者から直に取材する実話怪談集。


作中でも書かれているが、実体験を体験者の語るままに
記録していく本書は、確かに類書の「新耳袋」(木原浩勝ら編の
実話と銘打った怪談集。脚色もアリなだけあってかなり怖い)に
比べれば恐怖度では劣ると言える。

だが、創作を交えずたとえ錯覚であろうと、体験を誠実に記録
していくのが本シリーズのスタンスなのであるから、
本書にひたすら過激な恐怖を求めるのは間違いであろう。


ただ五夜を迎えて本シリーズ内のみで見ても、
怖さが薄れているようように思えるのは私的懸念材料。


著者は大病を患ったこともあって、怪談編纂からは退く意向である
という。それゆえの共同編著者登場らしい。
今回は淡い印象の本シリーズであったけれど、
続刊があれば一応読んでみたい。