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読書の記録

椎名誠 「砲艦銀鼠号」

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灰汁・可児・鼻裂の三人は見かけ倒しの機関砲がついた船に
乗り込み海賊稼業を始めることに。


時代がいつとははっきり書かれていないけれど、舞台が歴史には
まだない大戦後であること、生態系が我々が既知のものからだいぶ
かけ離れていることから、おそらく未来の話なのだろう。


いつもながら魅せられてしまうのは、
もしかして私が知らないだけでほんとにあるんじゃないのか?と
思わされてしまうほどリアルな生き物や人々の習俗だ。
次に何が出て来るのかワクワクしてしまう。


そしてお気楽に見える三人組だが、彼らにもかつて傭兵だったりした
暗い過去がある。
その過去ならではの杵柄で危機を回避出来たりもするのだが、
その設定だけで現在、リアルに在る私と彼らとの違いをひしひしと感じる。


彼らは圧倒的に自由だけれども、それに付随する責任や危険をも
きっちり引き受けているのだ。
…と、分別くさいことを言ってしまったが、“予定は未定”で
おおらかかつがらっぱちな旅をする、海の男達の冒険と出会う奇怪な世界を
無邪気に楽しみたい一冊だ。


p.s.雑誌連載時は「ぎんねず」号ではなくて「くさがめ」号だったそうな。
藤子・F・不二雄の漫画、ポンコツ宇宙船旅行記モジャ公」ファンにオススメだ。