読書日記PNU屋

読書の記録

松岡圭祐「ブラッドタイプ」

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嵯峨を襲う病、そして日本を席巻する血液型性格判断の迷信。
岬美由紀と一ノ瀬恵梨香はこの問題にどう立ち向かうのか?
 
かつて自分のブログでこんな記事
http://ameblo.jp/joyblog/entry-10010761814.html
とか、こんな実体験
http://blog.goo.ne.jp/pnujimmy/d/20050527
を書いた私だから、こんな小説の登場を待ち望んでいた。


TVにしろ本にしろ、日本は血液型性格診断を信仰しすぎだと感じるのだ。
それは偽科学であるのに、何度医学者が血液型と性格の関連性を否定しても
肯定派は信じない。
[脳を流れる物質が違うのだから性格が違ってしかるべき]と言う肯定派だが、
否定派が血液型物質は脳血液関門BLOOD-BRAIN-BARRIERを通過しないと
いう事実をあげても、[だって当たっているし]で強行にその信仰を
曲げようとしないのが常だ。
まじめともてはやされるAや一途だと言われるOはいいかもしれないが、
無責任で自分勝手、冷たくて二重人格などと中傷誹謗されるBやABは
たまったものではない。
初対面の席で、必ず持ち出される血液型の話題はだいたいが[Bは大嫌い]
[Bはどうしようもない]で落ち着く。
血液型信仰の前に、人の個性は無視である。
何度こんなやりきれない思いをしてきたことか。


自分語りが長くなったが、おゆるしを。
本書はサスペンスミステリータッチで、血液型信仰に関して
なぜ当たる(と感じられる)のかを謎解きしてくれる。
わかりにくいかもしれないが、これしかないであろうと思われる、
鮮やかな方法で。まさに私が望んでいたのはこんな小説だった。
願わくば、本書が映画化・ドラマ化・コミカライズされて世に広まり
ますように。
それでも信じたい人は頑強なまでに信じたいからと言う理由で
信じるんでしょうけど。