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読書の記録

新井祥「性別が、ない!」(2)

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新井氏の漫画作品を実話系漫画誌で初めて読んだ時、
私は衝撃を受けた。


そこには明るく両性具有者としての日常が綴られていたからである。


私はかつて医学部にいた頃、半陰陽についての講義を受けたことを
思い出した…というのは嘘で、医学講義よりも先に、
自分が乙女時代にはまっていた少女漫画「イズァローン伝説」の
両性具有の美しき主人公アル・ティオキアを思い出した。
この点については、著者のご母堂にシンパシーを抱く私である
(詳しくは本書収録の「親に聞く2」をご覧あれ)。


さて2巻だが、幻となっていた手術エピソードが完全リメイク版で
読めるのがうれしい。
気の弱い人なら正視出来ないであろう謎の料理ネタなど、今回も
1巻に負けず劣らず衝撃実話満載だ。


細かいところでは、目次のアイコンに遊び心が感じられるし、
表紙カバー画が毎回名画のパロディなのも凝っていて面白い。


ただ楽しいエンタメとして本書を消費するのもいいが、生まれつき
当然のものとして考えてこなかった自らのセクシュアリティに想いを
馳せてみるきっかけにもなりそうな一冊だ。
ディープなネタではあるが、切り口はあくまでカラッと明るく
爽やかゆえに読後感は良好、なのだった。