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読書の記録

乙一「銃とチョコレート」

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貧しい移民の子・リンツは探偵ロイズに憧れていたが、
偶然に怪盗ゴディバに迫る品を手に入れ捜査に協力することに。
講談社ミステリーランドの一冊。


最初はありがちなお子様向けかと危うく思い込むところだった。
なんてエキサイティングな展開なのだろうか!
そして悪ガキのドゥバイヨルにリンツが虐められるシーンには
背筋寒くなるほど。さすが「死にぞこないの青オンライン書店ビーケーワン:死にぞこないの青2001.10
などの壮絶なイジメられ小説の著者だけはある。


キャラ立ちも相当なもので、一読しただけで一生涯忘れられなそうな
人物目白押しだ。私は今まで発行されたミステリーランドを全巻読んでおり、
胸揺さぶる筋立ての島田荘司「透明人間の納屋」、
妖美さが印象的な篠田真由美「魔女の死んだ家」、
バトルから目が離せない高田崇史「鬼神伝」がお気に入りであったのだが、
本書は一等に躍り出た。


ミステリーランドって、こども向けを意識してるせいかイマイチ
読みごたえがないんだよね、そう思っている人にこそ、
本書をお読みいただきたい。その印象は、必ずやくつがえされるはずだから。
ちょっとスパイシーではあるが、大人もこどもも等しくわくわく出来る、
そんな冒険に旅立つことが出来るのだから。