読書日記PNU屋

読書の記録

石田衣良「空は、今日も、青いか?」

Amazonで見る


作家・石田衣良初のエッセイ集。初、というのが意外であった。
氏のエッセイをけっこう読んでいるような気がしたのだ。
よく考えてみたら、著書におけるあとがきや自作解説が多いので、
私が勘違いしていただけだった。


装丁に使われた青空のように、爽やかで前向きなエッセイがたくさん
詰まっている。それは空疎なうわべだけ調子を合わせたのではなくて、
この世界の醜さや絶望も知っているけれど、敢えてそれでもポジティブで
いようじゃない、という明るさだから強いし説得力がある。


色々な掲載媒体からの収録ゆえ、働く男女に向けたものあり、
自分磨きと恋の探索に忙しいお嬢さん向けあり、
小さな子を持つパパママ向けありなのだが、どれにも共通しているのは
人生を豊かに楽しもうというメッセージだ。
最近いいことが無くて…って人が読んだら気分が明るくなるかも。


やるなと思ったのは、日常描写をしつつ自作小説の宣伝もちゃっかり
しっかりしているところ。ファンは読み返したくなるだろうし、
未読の人は手を伸ばしたくなるだろう。
かく言う私も、以前読んだら合わなかったIWGPシリーズに再挑戦
したくなってきたほど。巧い。
章ごとに美しい空の写真があり癒し系の一冊。