北村薫「紙魚家崩壊 九つの謎」
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ホラーテイストだったりファンタジックだったり様々な味わいの短編集。
「溶けていく」
健康食品会社に入った女の子。
これは好みじゃなかったな。わざとなんだろうけれど描写がわかり
にくくて。ヒロインは寂しいの?なんだか弱すぎる気がしないでもない。
「紙魚家崩壊」
本の収集が趣味の夫婦に起きた悲劇。
これは楽しかった!ミステリーのウンチクを含め全てが理解出来たわけ
ではないけれど、なんともセンス良きナンセンスぶりが面白い。
続く「死と密室」も同じ探偵コンビが登場。
この二人のシリーズもの出していただきたくなるほどだった。
「白い朝」
夫婦の会話。日常の謎をスパイスにきかせた可愛い物語。
「サイコロ、コロコロ」「おにぎり、ぎりぎり」
千春さんと日常の謎がほのぼのさせてくれる。
「蝶」
ふとしたことで食事することになった男女。
淡々とした会話の雰囲気は良いが、楽しみどころが理解出来ず…。
「おれの席」
友人と麻雀三昧のはずが…男が迷い込むのは日常の罠か。
ありそうな不条理を描く苦い味わいの作品。好みにあらず。
「新釈おとぎばなし」
あの有名な童話の裏側にあるものを遊び心たっぷりに探る作品。
ユーモアはあるのだが、So what?と思ってしまう私のような読者
には向いていないのかもしれない。
だから何?が同感でたまらないキノさんの書評はこちら↓
http://clp.rdy.jp/book/log/eid138.html