鯨統一郎「なみだ特捜班におまかせ!」
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迷宮入り猟奇殺人事件専門の捜査班に招かれたのは、
うら若き女性だった!冴える迷推理。「涙」で始まる七つの事件を収録。
副題「サイコセラピスト探偵 波田煌子」。
なみだシリーズ二作目は、異常な殺人事件に煌子が挑む。
最初のうちはコミカルで楽しいと思ったのだけれど、
読み続けるにつれ毎度パターンが一緒なので、終わる頃には飽きが
来てしまった。同じような動機が続くのもイタかったかな。
真面目な捜査班の面々と、
天然なのかボケまくるのに犯人を当ててしまう煌子の対比が笑いを誘う。
しかし彼女の推理はこじつけが目立ち、リアルなミステリー作品では
とても通用しないものばかりだ。
現実味のある事件など本作には出て来ないので、事件も推理も
ムチャクチャなムードで統一されている、と言えなくもないが。
推理小説と言うよりも、クイズ本のような印象の作品であった。
遊び心あふれる人でないと、読むのがきついかもしれない。
それでも、事件を探偵が解くフォーマットにはのっとっているため、
本作には『本格推理小説』と冠されている。
「本格推理」の定義とはなんだろうか、読後そんなことを思った。