竹本健治「狂い咲く薔薇を君に 牧場智久の雑役」
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牧場智久シリーズ新作は、
武藤類子に憧れる少年・海人の視点から綴られる。
「騒がしい密室」
放送室の惨劇を牧場が解く!
犯罪を取り巻く状況に甘さを感じるのは気のせいか。
こんな動機であれば、周りに知れそうなものだが…。
次は表題作。
しょっぱなから、被害者と手口が予想出来てしまう。
うーん、一昔前に
天樹征丸・佐藤ふみや「金田一少年の事件簿」1997.11
ってミステリー漫画があったのだが、あんな感じ。
動機と犯罪がお手軽なところが…。
なぜそんな劇的なシチュエーションで殺人が為されなければ
ならなかったのか、その答えは無い。
「遅れて来た屍体」
内臓をくりぬかれた遺体が学校で発見される!
牧場抜きで推理を進める類子と海人だが。
やはり、状況の奇怪さと動機・真相が見合わない気がする。
以上読んで来て、ラノベ風味が過ぎるというか、牧場の登場は何とも唐突だし、
類子へのキャラ萌えだとか海人の言動のコミカルさなどなんとライトに
なってしまったものか、と嘆息したのだが…あとがきを読んで謎は解けた。
実は本作、漫画の原作としてつくられたプロットを、
牧場シリーズとして仕立て直したものらしいのだ。
道理でマンガっぽく感じられるわけだ。
あとがきまで読了して、さらにため息。
巨星、墜つとは。
これでは不服を言いたくとも言えぬ。
天才は夭折するものなのか。
心よりご冥福をお祈り申し上げる。