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読書の記録

シャハト・ベルント「雪の色が白いのは」

雪の色が白いのは
シャハト・ベルント編 / 大古 幸子訳
三修社 (2006.1)
ISBN:4384037872
価格 : 1,680円

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副題・グリムにはないドイツのむかし話。
グリムのような有名な童話ではなく、北ドイツ地方で語り継がれた
(世界的には)マイナーな民話を集めた本書。
活字はいわゆる昔話本のように大きめだが、大人向け推奨という
こともあってふりがなはない。
 

なるほど確かに、差別あり殺人あり怨念ありなのだが、語り継がれた
だけにどこかカラッとしたユーモアが漂っており、それほど陰湿な
印象はない。
 

特に面白かった話を挙げてみる。
まずはお金がらみの二作、
知恵の有無がユーモラスなオチにつながる
「また、学校へ行ったおじいさん」と「キービッツとうさんの知恵」。
 

蛮勇が痛快な「大食い男と大きなお鍋」。
 

奇抜な設定と残酷さで魅せるシュールな「わら束とうさん」。
 

「お留守番」は日本では山姥が普通だが、相手が魔女であるのがお国柄か。
 

つっこみどころも多いが「賢い孤児」の奇怪な出来事も見所。