松尾スズキ「クワイエットルームにようこそ」
クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3) 松尾 スズキ 文藝春秋 2007-08 asin:4163245200 Amazonで詳しく見る |
ライター女28歳、気付くと個室で拘束されていて…一体何が起こったの?!
芥川賞候補作だったことから手にとってみた…が。うぅ、読みづらいよ、これ。著者のエッセイものは、むしろ読みやすいほどなのに…どうしてだろうか。最近のワカモノの文体を模しているのかしら。でも、ヒロインの一人語りだし、ヒロインってもう28なんだよね?
うっかりヤケッパチになったことから入院せざるをえなくなったヒロインだが、彼女はどこか自分の問題を棚上げして、どこかお客様であるかのように、高みから入院患者の見物を始める。それは彼女のライター気質から来るのかもしれないが、内面だけハイテンションの彼女は自称・U病というよりその逆のような(S転した?)。
内面にせまるでもなく、どこか他人事のように彼女の物語は進んでいくのだが、私は彼女のテンションについていくことが出来なかった。
著者が男性だということを知っているため、偏見が入ったのかもしれないが、やたら性的な事柄に結びつけて思考するところはどこか男性的な印象。そしてゾロゾロ出てくる入院患者も、ステレオタイプでいてリアルを感じなかった。
p.s.ヒロインが命をアレしたりとか…本書があまりに私には受け入れられなかったので、オナニーしたり看護婦をエロい目で見たり、これってヒロインは女装した松尾スズキであって、これって演劇の一舞台の脚本であって、文学という感じがしない!!とダンナ(未読)にグチったところ、
「松尾スズキらしくていいじゃないの。あなたは松尾スズキに何を望んでいるの?松尾スズキが女の気持ちになること?」
と言われたので、よくよく考えたらどうでもよくなった。ヒロインと私の人生はクロスしない。文化の違いというやつだろう。はっ。