読書日記PNU屋

読書の記録

山野車輪「マンガ嫌韓流2」

マンガ嫌韓流 2
山野車輪
晋遊舎 (2006.2.22)
ISBN:4883805166
価格 :1,000円
通常24時間以内に発送します。
Amazonで見る


まずは1巻のことから話したい。

私は二次元…おもに小説世界にしか興味のないオタクだったので、
政治や隣国のことになど興味は全くなかった。

なのに、なぜ「マンガ嫌韓流1」オンライン書店ビーケーワン:マンガ嫌韓流2005.9
を手に取ったのかというと、絵柄がなんとなく昔好きだった
幽遊白書」etc.の冨樫義博に似ていたこと…がきっかけだった。
(とくに、主人公の「要」は「幽遊白書」の主人公幽助に見た目が似ている)

そしてサッカーにだけは現実社会に大きく興味を持っていた
私は、「マンガ嫌韓流」1巻を驚きを持って読んだ。

まず冒頭に、2002年W杯の疑惑の審判が挙げられていたからである。

サッカー好きにとっては、ツカミが抜群であった。



主人公「要」が、ごくふつうにTVのニュースと
A新聞だけで育って来た、(いわば私のように)タテマエの日韓
(もしくは韓日)関係しか知らなかったのに、サークルの先輩から
徐々にマスコミでは報道されない裏事情を知らされていく…
というところも、感情移入しやすいポイントであったと思う。




マンガであるから活字本よりわかりやすいが、
そのぶんメディアとして活字媒体よりもかなり情報量が
制限されてしまう。
(本書はマンガにしてはかなり文字数が多い方に入るが…)

そしてマンガならではのデフォルメされた表現が、
写真ではなくイメージとしての『絵』が感情的な受け取られ方をする
危険性も秘めている。

それでも、著者の主張は「報道されない本当の隣国との関係を知れ」
というところにあったと思えたし、
その意味では(たとえ韓国のマイナス面ばかりを取り上げているとはいえ)
このようなマンガ本を出版して世に問うという意味は、あったのじゃ
ないかと思う。


さて、2巻である。


1巻でも言われていたことだが、今回はとみに絵が粗い。
ヘタというより、ザツという感じなのだ。
もしかして、〆切関係の何かで書き込む余裕がなかったのかも
しれないが…。

そして、前作に寄せられた批判の一部として、

『日本人はみな美形なのに、韓国人はぶさいくに描かれている』

ということがあったが、今回もそれは続行。


その批判を受けてか、前回は韓国の人というとみな黒髪、
エラが張って目が細い描かれ方をしていたのだが、
今回2巻では、一見(一見、の意味はラストで判明する)
美形のニューキャラ「朴」さんが登場する。

しかし、朴さんが
綾波レイみたいな髪型なのは何か狙ってるのか…?

著者も、作中に自分を登場させて「日本だけ美形」なる批判に
「それはマンガ表現」であると反論しているが、
美醜に敏感だと(マスコミではそう報道されている)言われている
韓国のこと、みなが悪人面なのはマンガ表現とはいえ、やはり
気になるところ。

日本人だからと言って、そんな美形ぞろいなわけがないしねえ。

国籍に関係なく、全員が美形(それこそアニメ「ガンダムSEED」のように!)
もしくは全員がブサイクであれば、こういう批判は出なかっただろうに…
と思うと、絵柄設定で隙を作ってしまうことが残念に思う。

せめて、末行センパイがアキバ系のDBキモヲタだったら、
こういう批判を封じることは出来たのだろうに。


2巻は絵が雑になったと言ったが、日本人キャラの感情表出も
どこかヒステリックで(女性陣はすぐに涙を流す、また男女問わず
パターン化された変顔を繰り返すなどして落ち着きがない)、
1巻とは異なり、今回はどこか入り込めなかった気がした。
まあそれも、反韓がどうとかいうことじゃなくて、純粋に
マンガ的テクニックの問題かもしれないが。


私はそこそこトシだし、マンガに描かれたことが全て疑いようもなく
史実、とは思っていない。

同様に、メディアで報道されることが全て真実だとも思えない。

本書は、オンライン書評のレビューでも繰り返し言われているように、
大勢から言われたことだけが真実とは限らないということを
知らせる入門書なのかもしれない。

それ以上の意味を求めるのは、ちと酷なのかなぁとも思うし。
今後このムーヴメントがどうなっていくのか、ハンチクな私は
傍観者として見ていこうかと思うのだった。